武当派太極内丹法について

武当派太極内丹法について

武当派とは、中国の湖北省(こほくしょう)にある武当山(ウーダンシャン)で、現在も行われている「氣」の練功法(れんこうほう)の流派です。伍柳派(ごりゅうは)とも呼ばれます。武当山は道教の聖地にして、中国三大武術(少林派、武当派、峨眉派(がびは))の聖地でもあります。
道教では、神仙思想(しんせんしそう)の元、陰陽五行説(いんようごぎょうせつ)を重んじ、仙道(せんどう)、いわゆる仙人になる為の道において仙術(せんじゅつ)が使用されますが、その仙術の体得には内丹法が中心にあります。また、武当派武術(太極拳(たいきょくけん)、八極拳(はっきょくけん)、形意拳(けいいけん))は、アクロバティックな少林派武術と異なり、「氣」の発経(はっけい)により相手を倒す「内家拳(ないかけん)」が特徴で、道教の道士は、仙術と武術共に内丹法を学び、体得していきます。
体得の段階は、大きく分けて下記があります。

体得の段階

  1. 煉己築基(れんこちくき)
    ・・・内丹の基礎、呼吸法により、心身を整える段階。
  2. 煉精化気(れんせいかき)
    ・・・精を練り、気に変え、体中を巡らせていく段階。自分の身体の周りに氣を巡らす小周天(しょうしゅうてん)、氣によって人間と天地との交流を行う大周天(だいしゅうてん)を含みます。
  3. 煉気化神(れんきかしん)
    ・・・気を更に練り、火を付けて炉にかけて陽神(ようじん)を作りあげる段階
  4. 煉神還虚(れんしんかんきょ)
    ・・・陽神を鍛えて空間、時間を超えて操り、最後には肉体も陽神と同じ状態にまで引き上げる段階
  5. 還虚合一(かんきょごういつ)
    ・・・陽神も肉体も含めて、存在を消滅させていき、道(タオ)の根源に戻してしまう段階